コーヒー豆を焙煎(ばいせん)・販売する事業者や喫茶店主らが中心となって、焙煎技術の向上やコーヒー文化の発信を目指す「岐阜県珈琲(コーヒー)文化研究会」が設立されることになり、19日、大垣市内で設立準備会が開かれる。
岐阜県は世帯当たりの喫茶消費額が全国1位となるなど、コーヒーが市民生活に根付いている。研究会設立の準備を進める岐阜市で喫茶店を経営する広瀬祥一さん(36)は「岐阜をコーヒーの街として発信できれば」と意気込んでいる。
19日の設立準備会には大垣、高山、下呂市などから十数人が参加する予定。5月にも研究会を正式発足させ、県内各地の事業者らに輪を広げていきたいという。
研究会は2か月に1回程度開催し、毎回、栗きんとんや織部焼など県産品を「お題」に設定し、その県産品に合ったコーヒーを入れる技を研究する。また、「珈琲大学」と称して、コーヒーにまつわる研究成果の発表や講師を招いた講演会も開催し、インターネットなどで情報を発信していく予定だ。
岐阜県とコーヒーのゆかりは深い。「珈琲」の当て字は、大垣藩出身の蘭学者・宇田川榕菴(ようあん)(1798~1846)が考案したとされるほか、おいしいコーヒーに不可欠なおいしい水にも恵まれている。
総務省の全国消費実態調査によると、世帯当たりの喫茶消費額は月額974円で全国1位。2位の愛知県(777円)や3位の東京都(615円)をしのぐ。また、総務省の経済センサスによると、人口1000人当たりの喫茶店数は1・54店で、高知県(1・76店)に次ぐ2位につける。
こうした背景には喫茶店でコーヒーを頼むと、トーストやゆで卵などもついてくる「モーニングサービス」が浸透していることがある。また、作業場が機械音で騒々しい繊維業が発達していたため、商談に使われた喫茶店が多く誕生したとの説もある。
コーヒーを「県産品」として売り込みを図る県も、場所の提供や県産品の手配などで研究会を全面的に後押しする考えだ。県商工政策課は「コーヒーを岐阜のブランドとして売り込めれば、地域経済への波及効果は大きい」としている。(福島利之)
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